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脱毛症とは?現代医学・東洋医学からみる原因と鍼灸・マッサージによるケア

seifudo4159
10月28日
読了時間: 9分

髪の毛は一定の周期で「生える・伸びる・抜ける」を繰り返しています。そのため、ある程度の抜け毛は誰にでもみられる自然な現象です。

しかし、

  • 急に抜け毛が増えた

  • 一部分だけ丸く髪が抜けた

  • 頭頂部や生え際が徐々に薄くなってきた

  • 全体的に髪のボリュームが減ってきた

といった変化が続く場合には、何らかの脱毛症が関係している可能性があります。

脱毛症にはさまざまな種類があり、原因も一つではありません。

現代医学では、毛包の状態、免疫、ホルモン、遺伝、栄養状態、薬剤、全身疾患などから原因を考えます。一方、東洋医学では、髪だけを局所的にみるのではなく、気血の巡りや臓腑の状態、ストレス、睡眠、体質などを含めて全身の状態から考えることが特徴です。

ここでは、脱毛症について現代医学・東洋医学・鍼灸・マッサージの観点から解説します。


脱毛症にはいくつかの種類があります

「脱毛症」と一言でいっても、原因や経過は大きく異なります。

代表的なものには次のようなものがあります。


円形脱毛症

頭髪の一部が円形または楕円形に突然抜けるタイプの脱毛症です。

1か所だけの場合もあれば、複数の脱毛斑ができたり、広い範囲に及んだりすることもあります。

現在では、毛を作る毛包に対する自己免疫反応が重要な原因の一つと考えられています。

日本皮膚科学会の「円形脱毛症診療ガイドライン2024」でも、成長期の毛包を主な標的とする自己免疫性疾患として位置づけられています。


男性型脱毛症(AGA)

男性に多くみられる脱毛症で、生え際や頭頂部を中心に徐々に髪が細く、短くなっていきます。

男性ホルモンの一種である**ジヒドロテストステロン(DHT)**に対する毛包の感受性や、遺伝的要因などが関係しています。

「髪が突然抜ける」というより、毛髪の成長期間が短くなることで、徐々に細く短い毛が増えていくことが特徴です。


女性型脱毛症

女性では、男性のAGAのように生え際が大きく後退するよりも、頭頂部を中心に髪全体の密度が低下することがあります。

加齢やホルモンバランスの変化、遺伝など複数の要因が関係すると考えられています。


休止期脱毛

強いストレス、発熱、感染症、出産、急激な体重減少、栄養不足、大きな手術などをきっかけとして、多くの毛髪が一度に休止期へ移行することで起こります。

原因となった出来事から数か月後に抜け毛が増えることもあるため、「最近は特に何もなかった」と感じても、少し前の体調変化が関係している場合があります。


その他の脱毛症

このほかにも、

  • 甲状腺疾患など全身疾患に伴う脱毛

  • 鉄欠乏など栄養状態に関連する脱毛

  • 薬剤による脱毛

  • 頭皮の炎症や感染症に伴う脱毛

  • 毛を引っ張ることによる牽引性脱毛

  • 毛包が破壊される瘢痕性脱毛症

などがあります。

そのため、「抜け毛=ストレス」と自己判断してしまうことはおすすめできません。


現代医学からみた脱毛症

毛髪には、

成長期 → 退行期 → 休止期 → 脱毛

という毛周期があります。

通常は多くの髪が成長期にありますが、この毛周期が乱れたり、毛包に炎症が起きたりすると、髪が十分に成長できなくなります。

脱毛症では主に、

  • 毛包に対する免疫反応

  • 男性ホルモンの影響

  • 遺伝的要因

  • 加齢

  • 強い身体的・精神的ストレス

  • 睡眠不足

  • 栄養状態の変化

  • 内分泌疾患

  • 皮膚疾患

  • 薬剤

などを考えていきます。

特に円形脱毛症については、単純に「ストレスだけが原因」と考えるのは正確ではありません。

精神的ストレスが発症や悪化に影響することはありますが、病態の中心には免疫系と毛包との関係があります。

また、近年は重症の円形脱毛症に対してJAK阻害薬など、新しい治療も行われるようになっています。日本でも重症例に対する治療選択肢が増えています。


円形脱毛症の主な医療機関での治療

脱毛の範囲や年齢、進行速度などによって治療法は異なります。

代表的には、

  • ステロイド外用

  • ステロイド局所注射

  • 局所免疫療法

  • 紫外線療法

  • 症例によってはステロイドパルス療法

  • 重症例ではJAK阻害薬

などがあります。

日本皮膚科学会でも、病状に応じてこれらの治療法が検討されています。

円形脱毛症が急速に広がっている場合や、眉毛・まつ毛まで抜けてきた場合などは、まず皮膚科で適切な評価を受けることが重要です。


東洋医学では「髪」をどのように考えるのでしょうか

東洋医学では、脱毛部だけを見るのではなく、身体全体の状態を反映した症状の一つとして考えていきます。

髪と特に関係が深いとされるのが、

  • 腎

  • 肝

  • 血

  • 気

です。


「髪は血の余り」と考える

東洋医学には、

「髪は血の余り」

という考え方があります。

これは、十分な「血」が全身を滋養したうえで、その余力が髪を養うという考え方です。

東洋医学でいう「血」は、現代医学の血液そのものだけを意味するものではなく、身体を滋養し、精神活動を支える働きまで含めた概念です。

血が不足した「血虚」の状態では、

  • 髪が細い

  • 髪につやがない

  • 抜け毛が増える

  • 顔色が青白い

  • 目が疲れやすい

  • めまい

  • 動悸

  • 不眠

などがみられることがあります。


「腎は髪に華を表す」

東洋医学では、

「腎其華在髪」(腎はその華を髪に表す)

という考え方があります。

「腎」は成長・発育・生殖・老化などと関係する「精」を蓄えるとされます。

そのため、加齢や慢性的な疲労などに伴って腎の働きが低下すると、

  • 髪が脱毛症とは?現代医学・東洋医学からみる原因と鍼灸・マッサージによるケア細くなる

  • 白髪が増える

  • 脱毛

  • 腰や膝のだるさ

  • 耳鳴り

  • 夜間頻尿

  • 疲れやすい

といった症状が同時にみられることがあります。


ストレスと「肝」の関係

東洋医学の「肝」は、気や血を全身へ円滑に巡らせる働きに関係すると考えます。

強いストレスや緊張状態が長期間続くと、

肝気鬱結

と呼ばれる、気の流れが滞った状態になることがあります。

すると、

  • イライラする

  • 気分が落ち込みやすい

  • 胸や脇が張る

  • 肩や首が緊張する

  • 頭痛

  • 睡眠の乱れ

  • 胃腸の不調

などを伴うことがあります。

脱毛症の方でも、こうした全身状態を確認しながら施術を組み立てていきます。


東洋医学でみる脱毛症の主なタイプ

実際には複数の状態が重なりますが、代表的には次のように考えます。


血虚タイプ

身体を滋養する血が不足している状態。

髪が細い、つやがない、抜け毛、めまい、不眠、目の疲れなどを伴うことがあります。


肝腎不足タイプ

加齢や慢性的な疲労などにより、肝や腎の働きが低下していると考える状態です。

髪が細い、白髪、腰や膝のだるさ、耳鳴りなどを伴うことがあります。


肝気鬱結タイプ

精神的ストレスや緊張が強く、気の巡りが悪くなっている状態です。

首肩の緊張、不眠、頭痛、胃腸症状などを伴うことがあります。


瘀血タイプ

東洋医学では血液や組織の循環が滞った状態を「瘀血」と表現します。

頭皮の緊張や慢性的な循環不良などを含め、局所だけでなく全身の状態を確認します。


脱毛症に対する鍼灸治療

鍼灸治療では、脱毛している部分だけを刺激するのではありません。

頭皮の状態に加えて、

  • 首や肩の緊張

  • 睡眠

  • 疲労

  • 冷え

  • 胃腸の状態

  • 精神的ストレス

  • 全身の気血の巡り

などを確認しながら施術を行います。

東洋医学的には、弁証に応じて、

  • 肝の働きを整える

  • 腎を補う

  • 血を養う

  • 気血の巡りを整える

  • 心身の緊張を緩和する

ことなどを目的として経穴を選択します。

使用する経穴は状態によって異なりますが、

  • 百会

  • 風池

  • 太衝

  • 足三里

  • 三陰交

  • 血海

  • 腎兪

  • 肝兪

などが検討されることがあります。

また、頭皮周囲へ刺激を加える施術を行う場合もあります。

青風堂では、鍼灸を必要に応じて医療機関での治療と併用しながら、頭皮だけでなく心身全体の状態を整えるための一つの選択肢として考えます。


脱毛症に対するあん摩・マッサージ

マッサージで毛包そのものの病気を直接治療することはできません。

しかし、

  • 首・肩の強い筋緊張

  • 頭部周囲の緊張

  • 睡眠不足

  • ストレス

  • 全身の疲労感

などがある場合には、あん摩・マッサージを併用する意味があります。

特に長時間のパソコン作業や精神的緊張が続いている方では、後頭部から首・肩にかけて強く緊張していることがあります。

あん摩・マッサージでは、

  • 頸肩部の筋緊張を緩める

  • 心身のリラックスを促す

  • 睡眠や休息をとりやすい状態へ整える

  • 頭頸部周囲の循環を整える

ことなどを目的として施術します。

ただし、頭皮を強く揉んだからといって髪が直接増えるわけではありません。

特に炎症や皮膚疾患がある頭皮に強い刺激を加えることは避ける必要があります。


鍼灸とマッサージを組み合わせる意味

脱毛症の方の中には、

  • 首肩こり

  • 頭痛

  • 不眠

  • 疲労

  • 冷え

  • 胃腸の不調

  • 精神的緊張

など、脱毛以外の症状を抱えている方も少なくありません。

そのような場合には、

頭皮への局所的なアプローチ+全身の鍼灸治療+首肩を中心としたあん摩・マッサージ

を組み合わせながら、全身状態を整えていく方法も考えられます。

脱毛症だけを見るのではなく、「その人の体調全体」をみながら施術を行うことは、鍼灸・東洋医学の大きな特徴です。


生活の中で見直したいこと

毛髪の状態は、全身の健康状態とも関係しています。

特に、


睡眠

慢性的な睡眠不足は自律神経やホルモン、免疫機能などに影響します。

十分な睡眠時間を確保することが大切です。


栄養

髪の主成分はタンパク質です。

極端な食事制限を避け、

  • タンパク質

  • 鉄

  • 亜鉛

  • ビタミン類

などを含むバランスの良い食事を心がけます。

サプリメントを大量に摂れば髪が生えるというものではありません。


ストレス

「ストレスをなくさなければ」と考えること自体が負担になることもあります。

軽い運動、入浴、趣味、十分な休息など、自分に合った方法で緊張を緩めることが大切です。


頭皮への刺激

強く擦る、爪を立てて洗う、必要以上に強くマッサージするといった刺激は避けます。

頭皮を清潔に保ちながら、やさしく洗うことを基本とします。


早めに皮膚科を受診したほうがよい脱毛

次のような場合には、一度皮膚科へ相談することをおすすめします。

  • 突然、円形に髪が抜けた

  • 急速に脱毛範囲が広がっている

  • 眉毛やまつ毛まで抜けてきた

  • 頭皮に赤み・痛み・かゆみ・かさぶたがある

  • 頭皮が硬く光沢を帯びている

  • 急激に全体の抜け毛が増えた

  • 強い倦怠感や体重変化など全身症状を伴う

  • 子どもに脱毛がみられる

  • 原因が分からない状態が長く続いている

脱毛症には、早期に医学的評価を受けたほうがよいものがあります。

鍼灸・マッサージを希望される場合でも、必要に応じて医療機関と併用しながら進めることが大切です。


まとめ

脱毛症には、円形脱毛症、男性型・女性型脱毛症、休止期脱毛などさまざまな種類があります。

現代医学では、免疫、ホルモン、遺伝、毛周期、栄養状態、全身疾患などから原因を考えます。

一方、東洋医学では、

「髪は血の余り」「腎は髪に華を表す」

という考え方を基本に、血・腎・肝・気血の巡りなど身体全体の状態をみていきます。

鍼灸では、頭皮だけでなく、首肩の緊張、睡眠、ストレス、疲労、冷え、胃腸の状態なども含めて施術を組み立てます。

また、あん摩・マッサージを組み合わせることで、頸肩部の筋緊張を緩め、身体を休みやすい状態へ整えていくこともできます。

脱毛症では「髪だけ」に意識が集中しがちですが、髪は身体の状態を映す一つのサインでもあります。

気になる抜け毛や脱毛がある場合には、必要に応じて皮膚科で原因を確認したうえで、鍼灸・あん摩マッサージを身体全体の調整に役立てていく方法があります。

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